校長の東です。
前回のコラムから、「ボイストレーナー養成コース」について書き始めました。
※前回のコラムは→コチラ!
今回のコラムは、その2回目。
「ボイストレーナー養成コース」で学び、実践する「V・S・Iメソッド」について少し掘り下げてみたいと思います。
■「V・S・Iメソッド」の概要
V→Vocaization(発声)
S→Singing(歌唱)
I→Impression(感動)
前回のコラムにも書いていますが、「V・S・Iメソッド」は「発声」「歌唱」「感動」この3つのポイントから状態を評価し、レッスンを行います。
「発声」と「歌唱」を区別し、時には連動させ状況にアジャストした指導をします。
また、歌は“ナマモノ”であり“表現”であり“芸術”です。
ナナイロミュージックの大きなテーマである「上手い歌」だけではない、心に「響く」「触れる」「動かす」そんな「イイ歌」に近づくためのピース「感動」を指導の中に組み込んでいます。
どれかを集中して練習することがあったとしても、偏ったレッスンは行いません。
■Vocaization(発声)
「ボイトレ」といえば「発声」みたいなイメージがあると思います。
非常に重要で、確かに“要“となります。
「V・S・Iメソッド」の「発声」は、ある程度の順序を踏まえレッスンを行います。
①クライアント(生徒さん)の発声の現状を正確に把握する。
②改善法の提示を行い、生徒さんと講師が同じ方向を向く。
③エクササイズを実行する。
このような順番です。
当然の流れのように感じるかもしれませんが、確信を持ってこの流れを行うことは結構難しいですし、この流れを実行できない講師も多くいます。
①クライアント(生徒さん)の発声の現状を正確に把握する。
できるだけこの時点で正確に発声状態を正確に評価、把握する必要があるのですが、10人いれば10人発声状態は異なります。
つまり、多くの知識や経験が必要になります。
「ボイストレーナー養成コース」では、発声状態の大まかな種類とその原因を学び、実践練習を行います。
②改善法の提示を行い、生徒さんと講師が同じ方向を向く。
何が何だかわからないままにエクササイズを行うのではなく、目的・目標を共有するこでエクササイズの効率を上げます。
「ボイストレーナー養成コース」では、様々な具体的なエクササイズを学び、そのエクササイズを行う理由を掘り下げることで、目的・目標の共有ができるように実践練習を行います。
③エクササイズを実行する。
実際にエクササイズを実行し、その結果を元に①に戻る、あるいは継続してエクササイズを行います。
「V・S・Iメソッド」では、発声状態を改善するために「正しい発声」の練習を行うというよりも、様々なツールを使って「目標の発声に近づく」エクササイズを行います。
なので、普通ではあり得ないような変な声の発声や極端な声の発声を行うこともあります。
この点も特徴です。
(※そもそも、POPSに「正しい発声」という概念はないという立場です。)
■Singing(歌唱)
「V・S・Iメソッド」では、歌唱を7つの要素に分けることで、講師の歌の聞き方のクセや、講師の好みに左右されず、出来る限り高い解像度で客観的に評価します。
7つの要素は以下の通りです。
①発声
②音程(ピッチ)
③リズム
④抑揚表現
⑤その他テックニック(ヴィヴラート・フェイクなど)
⑥歌詞の表現
⑦ステージング(パフォーマンス)
それぞれの要素が影響し合っていることを考慮しつつも、それぞれを独立して評価します。
例えば・・・
■「②音程(ピッチ)」が低い
↓
「①発声」で声が鼻にかかることが原因の1つ
↓
さらに、声がこもりがちなので「⑥歌詞表現」で全体的に言葉の響きが重く暗い
↓
まずは「①発声」で鼻にかかる問題をクリアにする
■「④抑揚表現」が甘く平坦な歌になっている
↓
「③リズム」の感じ方が軽いことが原因の1つ
↓
「⑦ステージング」でリズムに合わせて体を動かして歌ってみる
↓
「③リズム」に対する感度上げメロディーに自然なアクセント与え「④抑揚表現」につなげる
などなど。
「ボイストレーナー養成コース」では、実際のレッスンの見学したり、実践・演習を行ったりしつつ、様々な歌唱状態を評価、指導する力を養います。
少し専門的な内容ですが「Vocaization(発声)」「Singing(歌唱)」についての大まかな内容は以上の通りです。
あくまでも、大まかな内容ですので、座学や実習ではもっと深く細かく学んでいきます。
次のコラムでは、「V・S・Iメソッド」の最後のピースである、「Impression(感動)」について書こうと思います。
次回をお楽しみに!