校長の東です。
この仕事をしていると、当たり前だけれど、様々な声や歌の色々なお悩みを聞きます。
その中でよくあるものの1つに「自分の声が嫌い」というお悩みがあります。
このお悩みについて書きたいと思います。
■普段聞いている自分の声
普段話している時に聞こえている声は、「本来の自分の声」が聞こえているわけではありません。
歌についても、普段の鼻歌やカラオケで聞こえている声は、「本来の自分の声」ではありません。
その時に聞こえている声は「口から外に出た声」と「体の中の声」が混ざった声です。
「体の中の声」というのは、耳を塞いで「口から外に出た声」を聞こえなくした状態で、声を出した時に聞こえる自分の声のことです。
私たちは、「口から外に出た声」と「体の中の声」が混ざった声を、自分の声と認識して普段聞いています。
■本来の自分の声
「本来の自分の声」は、普段聞いている自分の声ではなく、自分以外の誰かが聞いている自分の声です。
簡単に言ったら、スマホなどで動画を撮った時の自分の声のことですね。
それが、「本来の自分の声」です。
■「自分の声が嫌い」の正体
「自分の声が嫌い」と言っている人のほとんどは、「普段聞こえている自分の声」と「本来の自分の声」のギャップに違和感を覚え、「本来の自分の声」を受け入れられずにいる状態にいます。
なので、例えば毎回のレッスンを録音して「本来の自分の声」を、気持ち悪いと感じながらも聞き続けていると、「自分の声が嫌い」という気持ちはいつの間にか薄まります。
それどころか「本来の自分の声」を受け入れることで、「発声」や「歌唱」の直したい具体的なポイントをピックアップできるようになるのです。
「本来の自分の声」を聞き慣れることが大切です。
ちなみに「普段聞こえている自分の声」と「本来の自分の声」のギャップに違和感を覚える人は、90%くらいいます。
僕もその1人でした。
つまり普通のことなんです。
■カラオケ屋さんの音響の落とし穴
マイクを通して歌うと、「口から外に出た声」が大きくなり、「体の中の声」ほとんど聞こえなくなります。
つまり「普段聞こえている自分の声」のバランスが大きく崩れ、「本来の自分の声」が全面的に聞こえる状況になるのです。
「本来の自分の声」を聞き慣れていないと違和感を感じてしまいます。
しかし、カラオケに行ってマイクを使って思いっきり歌っても、さほど違和感を感じないと思います。
むしろ、気持ちよく歌えてしまうはずです。
これは、カラオケ屋さんの音響に秘密があります。
カラオケマイクを通して聞こえる声は、実はこもっています。
クリアな音質ではありません。
クリアな音質ではなく、こもった音質にすることで「普段聞こえている自分の声」に近づき、違和感を覚えにくくなります。
なので、リハーサルサタジオ、ライブハウスなどでマイクを使った時、多くの人は違和感を覚え、自分の声や歌唱の現実を突きつけられます。
カラオケ屋さんで練習するときは、その点を注意しておく必要があるでしょう。
■「自分の声が嫌い」のその先
「自分の声が嫌い」は、自分の声や歌を録音し、聞き直すことを繰り返すことで、慣れてきて比較的早い段階でクリアできます。
そして、上にも書きましたが、「本来の自分の声」を受け入れることで、より客観的に自分の「発声」や「歌唱」を見つめることができ、上達に繋がります。
とにかく「自分の声が嫌い」な人は、「本来の自分の声」を聞き慣れましょう。
逆に聞き慣れてしまえば、また別の観点で自分の声を見つめることができるようになるのです。
非常に重要なプロセス。
ぜひ、参考になさってください。
それでは、また次回コラムをお楽しみに。
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