こんにちは、校長の東です。
「一番上手いと思う歌手って誰ですか?」
よくこんな質問をされることがあります。
この質問には『上手いとは何か?』という、すごく深い問題が絡んでいます。
なので、よくされる質問なのですが、答えるのが難しいんです。
■『上手いとは何か?』
人によって様々な答えがありそうです。
・高い声が出る
・リズム感が良い
・声が美しい
etc..
どれも正解ですし、どれもピンと来るようで来ない・・・
『上手い』というのは、かなり幅が広く曖昧な言葉です。
なので、簡単に使える言葉であるものの、答えが絞り辛くなってしまいます。
■『上手い』=『歌唱力が高い』
こうすると、少し絞れてきそうです。
『歌唱力』とは・・・
【歌唱時の声のトーン、ボリュームなどを自在にコントロールし、表現する力】
だと考えています。
当たり前ですが、プロ歌手のほとんどは『上手い』=『歌唱力が高い』です。
■スポーツで例えるなら
プロ野球で例えるなら「一番野球が上手い選手は誰ですか?」という質問とほぼ一緒です。
みんな、野球が「超上手い」ですよね。
自分の体を自在にコントロールしてプレイしています。
その中で、「ヒットを打つのが得意」「ホームランバッター」「守備が上手い」「足が速い」「バント職人」など個性があります。
プロ歌手に言いかえると「声が綺麗」「低音が渋い」「独特のノリがある」「高音がパワフル」などの個性になります。
『上手い』プロ野球選手は?
『上手い』プロ歌手は?
答えは無いです。
■感性の幅を広げよう
プロ歌手のほとんどは『上手い』=『歌唱力が高い』上に、それぞれの個性があるということは分かったと思います。
歌や音楽を『上手い・下手』という括りの中で捉えるのナンセンスです。
「カッコイイ!」とか「雰囲気が好き!」とか「曲が好き!」とかでいいと思います。
その中で、なぜ「カッコイイ!」と思うのか?
なぜ「雰囲気が好き!」なのか?
このように、掘り下げると音楽を聞く力、感性が養われます。
また最初の質問を「一番好きな歌手って誰ですか?」
とか・・・
「凄いと思う歌手って誰ですか?」「カッコイイと思う歌手って誰ですか?」
という質問に変えると、具体的な答えがたくさん得られて、聞き方の幅が広がったり、より音楽の幅が広がったりして、自分の感性に広がりが出てきます。
■例外の中に音楽の懐の深さがある
プロ歌手のほとんどは『上手い』=『歌唱力が高い』ですが、例外があります。
この点が音楽がスポーツと違う、芸術的なところです。
声がガラガラで潰れていても、音程がはずれていても、リズムがヨレていても・・・
「カッコイイ!」と思える、感動する歌を歌う歌手はたくさんいます。
僕の大好きなアーティストの中にも、それほど歌唱力が高くはない方がいます。
でも「超カコイイ!」と思えます。
ちょっとした質問から、長い話になってしまいました。
皆さんは、自分の大好きな歌手のどこが好きですか?
なぜ好きなのですか?
これをキッカケに、少し考えてみると面白いかもしれないですね。