校長の東です。
歌唱において「声量」があることは、とても重要であり、強みになります。
しかし、「声量がある」と「叫んでいる」ということには、明確な区別が必要です。
「叫んでいる」と「声量がある」
コレらは、別モノ。
ハッキリとした区別が必要。
— ボイストレーナー🎤東 幸太朗(アズマ コウタロウ) (@kotaro_utauma) March 24, 2023
今回は、このことについて書いていきたいと思います。
■「声量」があること
歌唱での「声量」のコントロールは、歌唱表現において必須項目です。
歌い始めは「声量」を落として、サビで「声量」を増やして盛り上げる。
スタンダードですがこれをやるだけで、歌はイキイキとしてきます。
さらに、「声量」があるだけで迫力が増し、聞き手に強烈なインパクトを与えることができます。
しかし、十分な「声量」が出せない方は多くいらっしゃって、「声量を増やしたい!」という理由でボイトレを始める方も多いです。
こういったお悩みについては、ボイトレにて改善が見込めますし、割と分かりやすいお悩みです。
■「叫んでいる」状態
歌唱で盛り上げるポイントや、高音などで「叫んでいる」方も、チラホラといらっしゃいます。
※歌唱テクニックの「シャウト」や、歌唱表現として、あえて「叫んでいる」こととは別です。
こういう方は、ある程度「叫んでいる声」が、「聞き苦しい声」であることを自覚していたり、歌っていて苦しくて、しんどいと感じていたりすることが多いです。
しかしながら、「声量」については、自分は問題ないと思っていることも同時に多いです。
「叫んでいる声」は「声量がある声」とは別物という認識が無いのです。
■「声量がある」の正体
声は、①「呼吸」 ②「共鳴」 ③「声帯」で作られます。
この3つの要素のバランスが取れている状態で「声量がある声」が作られます。
以下がその3つの要素です。
①強すぎず、弱すぎない「呼気(呼吸における吐く息)」
※やや強めの呼気で、一定の時間、声量確保することはある。
②適切な「声道(喉から唇まで)」を形成し、人の耳に大きく聞こえる周波数帯(おおよそ2500Hz〜3500Hz)を含んだ「共鳴」
③音域にあったバランスの良い「声帯振動」
これらの要素のバランスがとれていると、繊細な表現が可能な「小さな声」から、伸びがある、迫力のある「声量がある声」まで作ることが可能です。
バランスが崩れると、「声量不足」や「叫んでいる声」になってしまいます。
例えば…
①「呼気」が弱すぎる。または、強すぎる。 → 声帯の閉鎖が適切に行われず、「息もれ」または逆に「過剰な声帯の閉鎖」が起こる。
②適切な「声道」の形成が行われない。「共鳴」が作れない。 → 人の耳にしっかり聞こえやすい周波数帯が作れず、「こもった声」または逆に「うるさい声」になる。
③音域にあったバランスの良い「声帯」が作れない。 → 低音から「裏声っぽい声」で軽い声になる(エネルギー不足)。または、高音に「地声」を無理矢理持ち込み制御できない(エネルギー過多)。
“ザックリ”と、こんな感じになります。
■「声量がある」と「叫んでいる」
▼「声量がある」とは、声を自分のコントロール下に置き、歌唱において「音楽的」で「迫力のある声」、または俗に言う「通る声・抜けの良い声」のことです。
▼「叫んでいる」とは、声を十分にコントロールできておらず、歌唱において「音楽的」でない、ただ「大きく張り上げた声」または俗に言う「うるさい声・耳障りな声」のことです。
※歌唱表現の一つとして「叫んでいる声」を使うこととは別です。
「叫んでいる」人は、特に高音域でその傾向が強くなります。
なので、単純に「高音域」を大きく発声しないイメージを持つことからスタートすると良いです。
「声量」のコントロールができるようになってくると、低音から高音まで、声質にも変化が現れて「歌声」の魅力が大いに増してきます。
良いことしかありません、マジで。
高音は出るけど声を張り上げるしか無かった生徒さん。
高音の声量のコントロールが少しずつ出来るようになってきた。
それに伴い、低音から中音域の歌声が柔らかく、豊かな響きになり、歌唱の印象が別人レベルになった。
声量をコントロールできることは、良いことだらけ。
— ボイストレーナー🎤東 幸太朗(アズマ コウタロウ) (@kotaro_utauma) March 26, 2023
いかがでしたでしょうか?
声質やリズム、ピッチ(音程)同様に声量を自由にコントロールできるか否かは、歌唱において大変重要です。
「自分「叫んでいる」かも…」
そう思ったら「声量を増やしたい!」と思っている人と同じように、課題の一つとして捉えましょう。
成長できるチャンスです。
それでは、また次回のコラムをお楽しみに!
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