校長の東です。
多くの人は「発声」や「歌唱」、もっと細かく言えば、「姿勢」「呼吸」などに『正しさ』を求めます。
しかし『正しさ』には、落とし穴があります。
今回は、そんなコラムです。
■『正しい姿勢・呼吸』について
「発声」や「歌唱」には、伝統的に「正しい姿勢・呼吸」というのがつきものです。
「正しい姿勢」で昔からよくあるのは、『肩幅くらいに足を開く』『天井から頭のつむじをつられている様に立つ』みたいなやつです。
また「正しい呼吸」で昔からよくあるのは、『腹式呼吸』です。
皆さんの好きなアーティストは、上のような「正しい姿勢・呼吸」で歌っているでしょうか?
動画サイトで確認してみてください。
「姿勢」は見た目でわかりやすいですし、「呼吸」は息継ぎの際に胸や肩が動いていなければ「腹式呼吸」です。
いかがでしょうか?
実はPOPSでは、伝統的な「正しい姿勢・呼吸」というものは、ほとんど行われていません。
極端に言えば、POPSには「正しい姿勢・呼吸」は存在しません。
■『正しさ』という枠
ある一定の方向から「姿勢」や「呼吸」を見れば、『正しさ』は存在するかもしれませんが、別の方向から見ればそれらは『正しくない』ことになります。
POPSには様々なジャンル、無限の表現方法が存在しているので『正しさ』という枠にはめてしまうと、途端に窮屈でつまらないモノになってしまいます。
最近、個人的にブラジル音楽にハマっていますが、囁くように歌う歌唱法があります。
この歌唱法に「口を大きく開ける」という「正しそう」な技術は、当てはまりません。
『正しさ』という枠から抜け出し、感性・視野を広く持つ方が、目指す方向も明確になるし、練習だって楽しくなります。
■『〇〇に適した××』
『正しさ』という枠から外れたら、何でもありになるのか?
もちろん、そういう訳ではありません。
歌ってみたい曲、出したい声など方向を定めたら、それらに『適した』技術を得るために練習をする必要があります。
「正しい発声」とか「正しい姿勢」とか「正しい呼吸」とか…
『正しい』というのは、とても真っ当な響きだけれど、実はあまり『正しい』というのは存在しない。
「◯◯に“適した”××」の方が正確。
例えば「低音に“適した”発声」とか。
『正しい』から解放されると、練習にもっと幅ができる。
— ボイストレーナー🎤東 幸太朗(アズマ コウタロウ) (@kotaro_utauma) April 11, 2023
ツイートの内容の他にも「力強い高音に“適した”姿勢」「省エネで声量確保に“適した”発声」などなど、方向性によって最適な技術が存在します。
■『正しさ』から解き放たれる
『正しい○○』という認識を『〇〇に適した××』という認識に変えましょう。
そうすれば、練習も歌唱も自由に効率的になります。
『正しい○○』というワードで検索して、出てきた情報を鵜呑みにするのはやめましょう。
「そういう考え方・方法もある」という方向に捉えましょう。
POPSは、本当に自由なのです。
音楽の聞き方、練習のやり方、歌い方もできる限り自由に楽しめるようでありたいですね。
それでは、また次回のコラムをお楽しみに!
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